住宅ローンの繰り上げ返済 vs 国債2%、どっちが得?
答えは「ローン金利」と「税引後利回り」の比較で出る
📅 9/19追記:政策金利1.25%を受けて、変動金利の返済額の試算(④)を追加
- 比べるのは「ローン金利」と「国債の税引後利回り」。固定5年2.39%の税引後は約1.90%です
- 0.5%台の低金利ローンなら繰り上げより国債が有利(100万円で年約5,000円 vs 約19,045円)。3%前後のローンなら繰り上げ優先です
- 数字が互角なら流動性(返済したお金は戻らない)・団信・住宅ローン控除の3点で判断します
- 利率は2026年11月発行分(固定5年2.39%・変動10年2.05%)。毎月見直されます
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① 結論の出し方はシンプル:「ローン金利」と「国債の税引後利回り」を比べる
- 100万円を繰り上げ返済に使うと、浮くのは「ローン金利」ぶんの利息(しかも非課税で確実)
- 100万円を国債に置くと、増えるのは「税引後利回り」ぶんの利子(固定5年2.39%なら税引後約1.90%)
- つまり比べるべきは「ローン金利」vs「約1.90%」。ローン金利のほうが高ければ返済優先、低ければ国債側に分があります
| あなたのローン金利 | 100万円繰り上げで浮く利息(年) | 国債(固定5年)の利子(税引後・年) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 変動 0.5%で借りている | 約5,000円 | 約19,045円 | 国債に分 |
| 固定 1.5%で借りている | 約15,000円 | 約19,045円 | 国債がやや上(下記②の論点で判断) |
| 固定 3%前後で借りる/借りている | 約30,000円 | 約19,045円 | 繰り上げ返済に分 |
※ いずれも1年あたりの概算。実際の繰り上げ効果は残期間・返済方式で変わります(期間短縮型は総利息の圧縮効果が大きくなります)。
② 数字が互角のときの3つの論点
- 流動性:繰り上げ返済したお金は二度と引き出せません。国債なら発行1年後から元本割れせず中途換金できます。急な出費に備える余力がないなら、数字が互角でも国債(または預金)側が安全です
- 団体信用生命保険(団信):ローン残高には団信という保険がついています。繰り上げ返済はこの保険を自分で減らす行為でもあります。健康に不安がある方は特に慎重に
- 住宅ローン控除:控除期間中は実質のローン金利がさらに低くなるため、繰り上げの旨みは減ります。控除が終わってから繰り上げる、が定石です
③ 長期金利3%時代の整理
- 2026年9月、長期金利は一時3%と30年ぶりの水準になりました(解説)。これから固定で借りる人のローン金利は上昇方向です
- 一方で低金利時代に0.5〜1%台で借りた人にとっては、「安い借金はそのままに、手元資金を2%の国債で運用する」が数字上は合理的になりました。金利のねじれを利用できる立場です
- 逆に金利3%前後の新規ローンなら、頭金を厚くする・繰り上げ余力を残す方が国債より効きます
④ 【9/19追記】政策金利1.25%——変動金利が上がると返済額はいくら増える?(試算)
日銀は9月18日に政策金利を1.00%→1.25%へ引き上げました(結果と解説)。変動金利型の住宅ローンは、政策金利に連動する短期プライムレートを基準にしているため、今後、各銀行から適用金利の引き上げが発表される見込みです。金利が上がると返済額がどう変わるか、借入3,000万円・残り30年で試算します。
| 適用金利 | 毎月の返済額 | 0.50%のときとの差 | 総返済額 |
|---|---|---|---|
| 0.50% | 約89,800円 | — | 約3,231万円 |
| 0.75% | 約93,100円 | +約3,300円(年+約4.0万円) | 約3,351万円 |
| 1.00% | 約96,500円 | +約6,700円(年+約8.1万円) | 約3,474万円 |
| 1.25% | 約100,000円 | +約10,200円(年+約12.3万円) | 約3,599万円 |
| 1.50% | 約103,500円 | +約13,800円(年+約16.5万円) | 約3,727万円 |
借入額・期間別の早見表(適用金利0.50%から上がった場合の、毎月の返済額の増加)
| 借入残高・期間 | +0.25% | +0.5% | +1.0% |
|---|---|---|---|
| 2,000万円・残り20年 | +約2,200円 | +約4,400円 | +約8,900円 |
| 3,000万円・残り30年 | +約3,300円 | +約6,700円 | +約13,800円 |
| 4,000万円・残り35年 | +約4,500円 | +約9,100円 | +約18,600円 |
※ 元利均等返済・ボーナス返済なし・残り期間の全体を新しい金利で再計算した当サイトの単純試算です。実際の変動金利は半年ごとに見直され、多くの銀行では返済額の変更は5年ごと・上げ幅は従来の1.25倍まで(いわゆる5年ルール・125%ルール)のため、返済額がすぐ増えるとは限りません(その間は利息の割合が増え、元本の減りが遅くなります)。引き上げの時期・幅は各銀行の発表をご確認ください。
- 目安は「3,000万円・30年なら、0.25%の上昇ごとに月約3,300円(年約4万円)の負担増」。識者の見方どおり来年3月ごろに政策金利が1.75%になれば、いまより+0.5%=月約6,700円の増加が視野に入ります(総裁本人は特定のペースを否定しています)
- 国債に置きかえると:年約4万円の負担増は、変動10年(2.05%・税引後約1.63%)なら約245万円分の利子に相当します。手元資金を繰り上げ返済に回すか、国債に置いて利子で負担増を埋めるかは、本文①の「ローン金利 vs 税引後利回り」で判断できます
- 変動金利が上がっても、適用金利が固定5年の税引後利回り(約1.90%)を下回っているうちは、数字の上では国債に分があります。ただし金利がさらに上がる局面では、団信・流動性(本文②)に加えて「返済額の増加に家計が耐えられるか」を優先してください
よくある質問
Q. 変動金利で借りています。これから上がるのが怖いのですが。
変動ローン金利が上がる局面では、変動10年国債の利率も同じ方向に上がる傾向があります(どちらも市場金利連動)。「ローン金利が国債の税引後利回りを超えたら繰り上げ開始」とルールを決めておくと、感情に流されず判断できます。
Q. ボーナスをどちらに回すべきですか?
順番は①生活防衛資金の確保 → ②高金利の借金返済 → ③低金利ローンなら国債等で運用が基本です。金額別の利子はシミュレーターで確認できます。
Q. 繰り上げ返済と国債、半分ずつはありですか?
あります。数字の有利さと心理的な安心(借金が減る・手元資金が残る)は別物なので、迷うなら折半は実務的な落とし所です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・解約を推奨するものではありません。記載の利率(変動10年2.05%・固定5年2.39%・固定3年2.07%=2026年11月発行分)は募集ごとに見直され、将来の利率・受取額を保証するものではありません。金額はすべて概算です。最新情報は財務省・各金融機関の公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。住宅ローンの金利・控除・団信の条件は契約により異なります。
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