そもそも同じ「国債」なのに中身が違う?
窓口で買った国債が元本割れするかもしれない話
個人向け国債と新窓販国債の違い
- 個人が買える国債は主に「個人向け国債」と「新窓販国債」の2種類で、名前は似ていても中身が違います
- 個人向け国債は元本保証・中途換金しても額面ベースで元本割れしない設計(最低0.05%保証・1万円から)
- 新窓販国債は満期まで持てば額面で戻りますが、途中で売る場合は市場価格=金利上昇局面では元本割れがありえます
- どちらが悪いという話ではなく「値動きの有無」という性格の違い。自分の商品がどちらかは取引報告書の商品名で確認できます
📚 個人向け国債を扱う主要証券会社
元本保証の個人向け国債(変動10年・現行2.05%)を取り扱う主要証券会社です。口座開設や購入の判断はご自身でご確認ください。
マネックス証券(NTTドコモグループ)
個人向け国債も購入手数料0円・米国債/投信にも強い
岩井コスモ証券
個人向け国債(変動10年・固定5年)を取扱。米国株/外国債券にも対応。
① そもそも「国債」は1種類ではない
銀行や証券会社の窓口で「国債を買いたい」と言ったとき、案内される可能性があるのは主に次の2つです。
- 個人向け国債:個人専用に設計された国債。変動10年・固定5年・固定3年の3タイプで、1万円から買えます
- 新窓販国債:「新型窓口販売方式」で売られる国債の通称。市場で取引されるのと同じ固定利付国債(2年・5年・10年)を、窓口で5万円単位から買えるようにしたものです
どちらも発行するのは国で、満期まで持てば額面で償還される点は共通です。違いが出るのは「満期より前にやめたくなった時」。ここが本記事のいちばん大事なポイントです。
※ 新窓販国債の募集は年限ごとに実施されない月や休止期間があります。現在の募集状況・条件は財務省や取扱金融機関の公式サイトでご確認ください。
- 財務省が10/1に発表した新窓販2年債(利付国庫債券〈2年〉第489回)は表面利率 年2.0%(税引後 約1.59%)。募集期間は10月5日〜10月28日・発行日11月10日・満期2028年10月1日です
- 前回(第488回・9月募集)の1.7%から1ヶ月で0.3ポイント上昇しました。日銀の利上げ(9/18に1.25%へ)と追加利上げの観測で、2年など短い年限の金利が大きく上がったためです
- 申込みは最低5万円から5万円単位。募集価格は額面100円につき100円14銭——額面より14銭高く買うため、満期まで持った場合の実質利回りは表面利率より低くなります(財務省公表の応募者利回りは年1.923%)
- 比較対象になる個人向け国債の固定3年は、直近の11月発行分で2.07%(10/7発表・募集10/8〜30)。2年債の利率上昇どおり、固定3年も1.96%から上がりました(最新の解説)。個人向けは1万円から買えて中途換金しても額面ベース。本文で説明する「途中でやめる時の違い」も合わせて判断してください
- 【10/6追記】10月募集の新窓販10年債(利付国庫債券〈10年〉第384回)の表面利率は年3.1%に決まりました(前月2.7%・1996年以来30年2か月ぶりの水準/出典:時事通信 10/6)。募集価格と応募者利回りは10月7日に、5年債(第188回)の条件は10月15日に財務省が発表します。
【10/13追記】第384回の募集価格は100円39銭・応募者利回り3.048%(税引後2.421%)に決まりました(募集10/9〜28・発行11/10・利払3/20と9/20)。額面より高い価格で買うため、利回りは表面利率3.1%をやや下回ります。
【10/17追記】5年債(第188回)は表面利率2.4%・応募者利回り2.312%(税引後1.827%)・募集価格100円38銭(募集10/19〜30・発行11/12)に決まりました。個人向け国債の固定5年2.39%(税引後約1.90%)とほぼ同水準で、中途換金の設計(新窓販は市場売却=元本割れあり/個人向けは額面ベース)が選ぶ分かれ目です(出典:財務省 募集中の国債)
出典:財務省「新型窓口販売方式による2年利付国債(第489回)の発行条件等」(令和8年10月1日)
② 2つの国債を比較(単位・利率・やめ方)
| 項目 | 個人向け国債 | 新窓販国債 |
|---|---|---|
| 種類 | 変動10年/固定5年/固定3年 | 固定利付 2年/5年/10年 |
| 購入単位 | 1万円から1万円単位 | 5万円から5万円単位 |
| 利率タイプ | 変動型あり(変動10年は半年ごと見直し・最低0.05%保証) | 固定のみ(発行時の利率が満期まで続く) |
| 途中でやめる | 発行1年後から中途換金可。額面ベースで元本割れなし(直前2回分の利子相当額が差し引かれる) | 市場価格での売却=金利上昇局面では元本割れがありうる(逆に金利低下時は売却益が出ることも) |
| 満期まで持てば | 額面で償還(元本保証) | 額面で償還 |
| 参考 | 変動10年は年2.05%(2026年11月発行分) | 募集状況・利率は変動するため、財務省・取扱金融機関で要確認 |
つまり個人向け国債には「市場価格」がなく、新窓販国債には「市場価格」がある。この一点が、名前の似た2つを分ける本質的な違いです。
③ 差が出るのは「途中でやめる時」だけ
「元本割れするかもしれない」と聞くと不穏に感じますが、条件は限定的です。整理すると次のようになります。
- 満期まで持つ:どちらも額面で償還され、差はありません
- 途中でやめる(個人向け国債):発行1年後から国が額面ベースで引き取るため、直前2回分の利子相当額は引かれますが元本は割れません
- 途中でやめる(新窓販国債):その時の市場価格での売却になります。金利が上がると既発の固定利付債の価格は下がるため、買った時より安くしか売れない=元本割れが起こりえます(逆に金利が下がっていれば売却益が出ることもあります)
「金利が上がると債券価格が下がる」の仕組み自体は 利上げと債券価格の関係 で詳しく解説しています。
④ 自分の商品がどちらか確認する方法
すでに窓口で買った方は、商品名を見れば判別できます。
- 購入時にもらった取引報告書や、定期的に届く取引残高報告書の商品名(銘柄名)を確認します。ネット口座なら保有商品一覧でも見られます
- 「個人向け国債」の文字+「変動10年」「固定5年」「固定3年」とあれば → 個人向け国債(中途換金で元本割れしないタイプ)
- 「利付国庫債券(10年)第◯◯回」のような表記で「個人向け」の文字がない場合 → 新窓販国債など市場価格で売却するタイプの可能性が高いです
- 判別に迷ったら、購入した金融機関に「これは個人向け国債ですか、新窓販国債ですか」と聞けば確実です
⑤ これから買うならどう考える?
繰り返しになりますが、これは優劣の話ではなく性格の違いです。
- 「途中で使うかもしれないお金」なら、いつやめても元本割れしない個人向け国債のほうが仕組みが分かりやすいと言えます。初心者の方が最初に検討する選択肢としても向いています
- 新窓販国債は満期まで持ち切る前提なら額面で戻り、発行時の固定利率を最後まで確定できるのが持ち味です。値動きを理解した上で選ぶ商品です
- 最終的には「満期まで持ち切れるお金かどうか」で考えるのが判断の軸になります
個人向け国債の手取り額は 日本国債シミュレーター で試算できます。預金と迷っている方は 国債 vs 定期預金 も参考にしてください。
よくある質問
Q. 窓口で買った国債が元本割れすることはありますか?
商品によります。個人向け国債なら中途換金しても額面ベースで元本割れしません。新窓販国債は途中で売ると市場価格になるため、金利上昇局面では元本割れがありえます(満期まで持てば額面で償還されます)。
Q. 個人向け国債と新窓販国債はどちらが得ですか?
一概には言えません。値動きの有無という性格の違いであり、途中で使う可能性があるなら個人向け国債が分かりやすく、満期まで持ち切る前提なら新窓販国債も選択肢になります。
Q. 自分がどちらを持っているか分かりません。
取引報告書・取引残高報告書の商品名を確認してください。「個人向け国債」とあれば個人向け、「利付国庫債券」などの表記なら新窓販国債等の可能性が高いです。迷ったら購入した金融機関に確認するのが確実です。
Q. 新窓販国債はいつでも買えますか?
年限によって募集が行われない月や休止期間があります。現在の募集状況・利率は財務省や取扱金融機関の公式サイトでご確認ください。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。個人向け国債・新窓販国債の商品条件、募集状況、利率、中途換金・売却の取り扱いは変動します。記載の利率(変動10年 年1.95%)は2026年10月発行分、新窓販2年債2.0%は第489回(2026年10月募集)の情報です。最新情報は財務省・各金融機関の公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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