【政策金利1.25%】利上げで国債への影響は?
持っている人・これから買う人——立場別に一覧で整理
📅 公開:2026/9/18 / 出典:TBS NEWS DIG(9/18 11:55)ほか / 9/19追記:植田総裁の会見(次の利上げの見方)を反映
- 日銀は9/18に政策金利を1.00%→1.25%へ引き上げ(31年ぶり・賛成多数)。ただし当時募集中だった個人向け国債(10月発行分:変動10年1.95%・固定5年2.24%)の利率は変わりません
- 個人向け国債の利率は政策金利ではなく市場の長期金利で決まります。反映は11月発行分(10月7日発表:変動10年2.05%・固定5年2.39%・固定3年2.07%)からとなりました。利上げ自体は織り込み済みでしたが、その後の長期金利上昇(3%台定着)で利率も上がりました
- 持っている変動10年は次の半年見直しで追随(基準金利+0.25%で100万円あたり年約1,300円増)。固定5年・固定3年は満期まで不変。どちらも元本は額面のままです
- 「利上げで国債は値下がり」は市場で売買される国債の話。個人向け国債には市場価格がなく、中途換金でも元本割れしません
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① 何が決まった?——政策金利は31年ぶりの1.25%へ
- 日銀は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げました。1995年以来、約31年ぶりの高い水準です
- 決定は賛成多数。「経済の状況は必ずしも強いとは言えない」(浅田委員)など2名が反対しました。6月以来3ヶ月ぶりで、植田総裁のもとでは最短間隔の利上げです
- 背景は原油高・円安・AI関連需要による物価の上振れ懸念。市場は事前に9割超を織り込んでおり、発表後は1ドル157円台へ円安が進みました(出典:TBS NEWS DIG 9/18)
| 時期 | 政策金利 | できごと |
|---|---|---|
| 2024年3月 | マイナス金利を解除 | 17年ぶりの利上げ。「金利のある世界」の入口 |
| 2026年6月16日 | 0.75% → 1.00% | 約31年ぶりの1%台。当時の解説 |
| 2026年7月31日 | 1.00%で据え置き | 株安・円高を受けた慎重判断。それでも9月発行分の利率は上昇 |
| 2026年9月18日 | 1.00% → 1.25% | 賛成多数(2名反対)。3ヶ月ぶり=植田総裁下で最短間隔。結果速報 |
② 国債への影響を一覧で——あなたはどの立場?
「国債」といっても、個人向け国債と、市場で売買される国債では影響が正反対です。まず全体像から。
| あなたの立場 | 利上げの影響 | やること |
|---|---|---|
| これから個人向け国債を買う | 10月発行分(募集は9/30で終了)は変わらない。反映は11月発行分から | 10月発行分の募集は9/30で終了。11月発行分は変動10年2.05%・固定5年2.39%・固定3年2.07%(募集10/8〜30)(③) |
| 変動10年を持っている | 次の半年見直しで利率が追随。元本は額面のまま | 何もしなくてOK(④) |
| 固定5年・固定3年を持っている | 利率も元本も変わらない(満期まで固定) | 基本は保有継続。乗り換えは損益分岐を確認(④) |
| 窓口で買った利付国債・新窓販国債を持っている | 市場価格は下落方向。満期まで持てば額面 | 途中で売らない前提なら影響なし(⑤) |
| 国債ファンド・債券ETFを持っている | 基準価額は下落方向(満期がないので戻る保証はない) | 保有目的を再確認(債券ETFの解説) |
| 預金が中心 | 普通預金・定期の金利は今後引き上げの発表が出る見込み | 国債との実額比較(定期上昇時代の考え方) |
| 住宅ローン(変動金利)を返済中 | 今後、適用金利の引き上げが発表される見込み。3,000万円・30年なら0.25%の上昇で月約3,300円増 | 返済額の試算と、繰り上げ返済 vs 国債の判断(下の参考・住宅ローン記事) |
③ これから買う人:10月発行分は変わらない。11月発行分は「上がるとは限らない」
| 10月発行分(募集終了) | 11月発行分(10月7日発表・確定) | |
|---|---|---|
| 変動10年 | 1.95%(確定) | 2.05%(確定・基準金利3.10%×0.66=初の2%台)。会合直後の長期金利2.99%では機械計算で約1.97%でしたが、その後3.1%まで上昇しました |
| 固定5年 | 2.24%(確定) | 2.39%(確定・5年想定利回り2.44%−0.05%)。9/11時点の水準(2.26%)では約2.21%と下回る計算でしたが、5年金利の上昇で上回りました |
| 固定3年 | 1.96%(確定) | 2.07%(確定)。利上げ観測が最も効く年限で、+0.11 |
| 募集期間 | 9/3〜9/30 | 10/8〜10/30 |
- 個人向け国債の利率は政策金利ではなく市場の長期金利(基準金利)から計算されます(基準金利×0.66のしくみ)。利上げは事前に織り込まれていたため、決定後に長期金利が大きく上がったわけではありません(会合前日の引値は2.990%)
- つまり「利上げしたから次の利率は大きく上がる」とは限りません。固定5年は、いまの市場水準なら11月発行分が10月発行分を下回る計算です
- 10月発行分の募集は9月30日で終了しました。期間内ならいつ申し込んでも同条件です。迷う場合の考え方は 個人向け国債の買い時はいつ? と 固定5年と変動10年、どっちを選ぶ? へ(最新利率の詳細は 11月発行分の解説)
④ 持っている人:変動10年は追随、固定型は不変
- 変動10年:半年ごとの利率見直しで、その時点の基準金利×0.66に更新されます。目安として基準金利が0.25%上がると利率は約0.165%上昇=100万円で年約1,300円(税引後)の増加です。次回の見直し時期と実額は 変動10年の次回利子はいくら? で確認できます
- 固定5年・固定3年:利率も元本も満期まで変わりません。「損」は出ませんが、今後の利率上昇の恩恵も受けません。発行1年後からは中途換金して買い直せますが、直前2回分の利子相当額が差し引かれるため、利率差が小さいうちは急がなくて大丈夫です(損益分岐は 昔の国債を買い直すべき?)
- どちらも元本は額面のまま。利上げで個人向け国債が値下がりすることはありません
⑤ 「利上げで国債は値下がり」は本当?——市場の国債と個人向け国債の違い
- 本当です。ただし対象は市場で売買される国債。金利が上がると、低い利率で発行された既発債は魅力が落ちて価格が下がります。残存10年の国債なら、金利が0.25%上がると価格はおおむね2%前後下がる関係です(利上げと債券価格のしくみ)
- 窓口で買った利付国債・新窓販国債は、途中で売ると市場価格になります。満期まで持てば額面で戻るので、売らない前提なら実害はありません。国債を大量に持つ金融機関の含み損が話題になるのもこの仕組みです(銀行・信金の国債含み損)
- 個人向け国債には市場価格がありません。中途換金は国が額面で買い取る仕組みで、金利がいくら上がっても元本割れしない設計です。変動10年はむしろ「値下がり」の代わりに「利率アップ」として跳ね返ります
(参考)住宅ローンの返済額はどう変わる?——変動金利の試算
国債の話からは外れますが、利上げでいちばん家計に響くのは変動金利の住宅ローンです。借入3,000万円・残り30年の場合の目安です。
| 適用金利 | 毎月の返済額 | 0.50%のときとの差 |
|---|---|---|
| 0.50% | 約89,800円 | — |
| 0.75% | 約93,100円 | +約3,300円 |
| 1.00% | 約96,500円 | +約6,700円 |
| 1.50% | 約103,500円 | +約13,800円 |
- 0.25%の上昇ごとに月約3,300円(年約4万円)の負担増が目安。年約4万円は、変動10年なら約245万円分の税引後利子に相当します
- 多くの銀行では返済額の変更は5年ごと・上げ幅は1.25倍までのため、すぐに返済額が増えるとは限りません(その間は元本の減りが遅くなります)。借入額別の早見表と「繰り上げ返済 vs 国債」の考え方は 住宅ローンの繰り上げ返済 vs 国債 へ
※ 元利均等返済・ボーナス返済なしの当サイトの単純試算です。引き上げの時期・幅は各銀行の発表をご確認ください。
【9/19追記】総裁会見:次の利上げはいつ?——「ペースは決め打ちしない」
- 植田総裁は会見で「政策の局面が変化した」と発言。基調的な物価上昇率が2%に近づき、今後は「2%に定着させる」ための政策運営に移るという趣旨です(出典:ロイター 9/18「識者はこうみる」)
- 識者の中心的な見方は3ヶ月に1回程度のペース→来年3月ごろに政策金利1.75%。ただし総裁本人は「3か月に1回など特定のペースは念頭にない」と述べ、連続利上げや0.25%超の利上げも「前もって排除できない」としています(読売新聞 9/18)。到達金利も「特定しがたい」。次がいつ・何%かは、物価しだいです
- 国債を持つ人・買う人への意味:利上げが続くなら変動10年は半年ごとの見直しで付いていく。固定5年は「いまの2.24%を5年確定」。どちらが得かは今後の長期金利しだいで、事前には分かりません(3年後の試算は 変動10年の4シナリオ)
⑥ 今後の予定
| 日付 | 予定 | 国債への意味 |
|---|---|---|
| 9/30(水) | 10月発行分の募集最終日 | 現行の利率(変動1.95%・固定5年2.24%)で買える最終日 |
| 10月7日 | 11月発行分の利率発表(済) | 変動10年2.05%=初の2%台・固定5年2.39%・固定3年2.07%。募集は10/8〜30 |
| 10/29-30 | 次回の日銀会合(展望レポート) | 年内もう一段の利上げがあるか(9,10月イベント一覧) |
| 12/17-18 | 12月の日銀会合 | 識者の「3ヶ月に1回」の見方どおりなら次の本命。ただし総裁は特定のペースを否定しており、10/29-30も排除されない |
※ 各銀行の預金金利引き上げの発表が出しだい追記します。9月の動きは 【2026年9月の国債まとめ】 へ。
よくある質問
Q. 政策金利が1.25%になると、個人向け国債の利率も上がりますか?
すぐには上がりません。個人向け国債の利率は政策金利ではなく、市場の長期金利(基準金利)から計算されます。10月発行分(募集は9/30で終了)(変動10年1.95%・固定5年2.24%・固定3年1.96%)は発表時点で確定済みで変わりません。今回の利上げが反映されるのは早くて11月発行分(10月7日発表)からで、市場が利上げを事前に織り込んでいたため、大きく上がるとは限りません。(10/7追記:11月発行分は変動10年2.05%・固定5年2.39%・固定3年2.07%と発表されました)
Q. すでに持っている変動10年はどうなりますか?
半年ごとの利率見直しで、その時点の基準金利×0.66に更新されます。利上げで長期金利が上がっていれば、次の利払い期から利率が上がります。目安として基準金利が0.25%上がると利率は約0.165%上がり、100万円あたり税引後で年約1,300円の増加です。元本は額面のまま変わりません。
Q. 固定5年・固定3年を持っています。損をしますか?
元本も利率も変わらないので損失は出ません。ただし今後発行される国債の利率が上がっても、持っている固定型の利率は満期まで上がりません。発行から1年経っていれば中途換金して買い直す方法もありますが、直前2回分の利子相当額が差し引かれるため、利率差が小さいうちは急ぐ必要はありません。
Q. 利上げで国債は値下がりすると聞きました。個人向け国債も下がりますか?
下がりません。値下がりするのは市場で売買される国債(利付国債・新窓販国債・国債ファンドなど)です。個人向け国債は市場価格がなく、中途換金は額面ベースで行われるため、金利が上がっても元本割れしない設計です。
Q. 利上げが続くなら、買うのは待ったほうがいいですか?
変動10年は買った後も半年ごとに利率が見直されるため、待つ意味は構造的に薄い商品です。待っている間は利子ゼロの機会損失も生じます。固定5年・固定3年は発行時の利率で確定するためタイミングの影響を受けますが、利上げ後に長期金利が下がることもあり、次の利率が上がる保証はありません。
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金利と価格のシーソーをやさしく。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却や借入を推奨するものではありません。記載の利率(変動10年1.95%・固定5年2.24%・固定3年1.96%=2026年10月発行分)は募集ごとに見直され、将来の利率・受取額を保証するものではありません。金額はすべて概算です。最新情報は財務省・日銀・各金融機関の公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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