【長期金利3%超え】国債に影響は?
持っている人・これから買う人——3%台の定着を立場別に整理
📅 公開:2026/9/30 / 出典:共同通信(9/28 17:06)ほか / 10/6追記:10年国債の表面利率が3.1%に(30年2か月ぶり) / 10/1追記:新窓販2年債が2.0%に / 10/7追記:11月発行分は変動10年2.05%(初の2%台)・固定5年2.39%・固定3年2.07%で確定。
- 長期金利の終値が3.085%となり(9/28〜29)、3%台が定着しました。原油高による物価高への懸念で国債が売られたためです
- 持っている個人向け国債は値下がりしません。値下がりするのは市場で売買される国債で、個人向け国債は額面で買い取られる別の商品です
- これから買う人には追い風です。11月発行分の変動10年は2.05%=初の2%台で確定しました(10/7発表・基準金利3.10%×0.66=機械計算どおり)
- 持っている変動10年は半年ごとの見直しで追随、固定5年・固定3年は満期まで不変。住宅ローンの固定金利と定期預金の金利は上がりやすくなります
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① 何が起きた?——長期金利の終値が3.085%に
- 9月28日の国債市場で、長期金利(新発10年国債の利回り)の終値は3.085%でした。前週末より0.010%高く、翌29日も同じ水準で引けています(出典:共同通信 9/28)
- 背景は中東情勢の先行き不透明感による原油価格の高止まりです。物価高が進むという懸念から国債が売られ、利回りが上がりました
- 9月1日に「一時3.0%」をつけたときは翌々日に3%を割りましたが、今回は終値で3%台が続いています。米10年債も5%台(9/25時点5.17%)で、海外からの上昇圧力も続いています
| 日付 | 長期金利(10年国債利回り) | できごと |
|---|---|---|
| 9/1 | 一時3.0% | 1996年以来30年ぶりの3%台(速報) |
| 9/3 | 2.965% | いったん3%割れ |
| 9/15 | 3.030% | 米10年債の5%突破を受けて再び3%台 |
| 9/18 | 2.975% | 日銀が1.25%へ利上げした当日。織り込み済みで小幅低下 |
| 9/28〜29 | 3.085%(終値) | 原油高・物価高への懸念で国債売り。3%台が定着 |
② 国債への影響を一覧で——あなたはどの立場?
長期金利の上昇は、個人向け国債には追い風、市場で売買される国債には逆風です。同じ「国債」でも向きが逆になります。
| あなたの立場 | 長期金利3%超えの影響 | やること |
|---|---|---|
| これから個人向け国債を買う | 次の発行分の利率に追い風。変動10年は2.05%で確定(10/7発表) | 募集期間(10/8〜30)に申し込めば間に合う(③) |
| 変動10年を持っている | 次の半年見直しで利率が上がる方向。元本は額面のまま | 何もしなくてOK(④) |
| 固定5年・固定3年を持っている | 利率も元本も変わらない | 基本は保有継続(④) |
| 窓口で買った利付国債・新窓販国債を持っている | 市場価格は下落。満期まで持てば額面 | 途中で売らない前提なら影響なし(⑤) |
| 国債ファンド・債券ETFを持っている | 基準価額は下落方向 | 保有目的を再確認(債券ETFの解説) |
| 住宅ローンを固定金利で借りる予定 | 固定金利は上がりやすい(長期金利が基準) | 借入のタイミングと金利タイプを確認(⑥) |
| 預金が中心 | 定期預金の金利は引き上げの動きが出やすい | 実額で国債と比べる(定期上昇時代の考え方) |
③ これから買う人:次の利率は、変動10年が初の2%台になる計算
変動10年の利率は基準金利×0.66で決まります(しくみの解説)。長期金利の水準ごとに計算するとこうなります。
| 長期金利(基準金利) | 変動10年の利率(×0.66) | 100万円の年間利子(税引後) |
|---|---|---|
| 2.96%(10月発行分の基準) | 1.95% | 約15,539円 |
| 3.03% | 2.00% | 約15,937円 |
| 3.085%(9/28〜29の終値) | 約2.04% | 約16,256円 |
| 3.10%(11月発行分の基準・確定) | 2.05% | 約16,335円 |
| 3.20% | 約2.11% | 約16,814円 |
- いまの水準が続けば、次の発行分(11月発行分)の変動10年は約2.04%=初の2%台の計算です。100万円なら税引後で年約16,256円、10月発行分(1.95%)より年約717円多くなります
- ただし基準金利は発表前営業日の10年国債の「入札」結果から決まります。市場の終値がそのまま使われるわけではなく、9月は「市場で一時3.0%→基準金利は2.96%」とずれました。発表まで確定ではありません
- 【10/6追記】財務省が10月に新規発行する10年物国債の表面利率を年3.1%に設定(前月の2.7%から0.4ポイント引き上げ)。1996年8月以来、30年2か月ぶりの高さで、新発10年債の利回りは9月下旬に一時3.115%まで上がりました。要因は中東情勢に伴うインフレ懸念と、財政拡張路線への警戒とされています(出典:時事通信 10/6)。市場で取引される国債の「表面利率」が3%台になったのは、長期金利3%台の定着を裏づける動きです
- 【10/4追記】財務省によると、11月発行分の利率は10月7日に発表、募集は10月8日〜30日
【10/7追記】財務省が発表した11月発行分は変動10年2.05%(基準金利3.10%×0.66)・固定5年2.39%・固定3年2.07%
【10/14追記】10/13に長期金利は一時2.995%と3週ぶりに3%割れ(引値3.000%)。半導体株の急落と米債高が理由です。12月発行分の変動10年は基準3.00%なら約1.98%と2%を割る可能性があります(3%割れの考察)。本記事の機械計算どおり、初の2%台となりました(募集10/8〜30・詳細解説)(発行日11/16)。10/2の長期金利は3.100%で、変動10年の機械計算は約2.05%です - 【10/1追記】財務省が発表した新窓販2年債(第489回)の表面利率は2.0%で、前月の1.7%から大きく上がりました(募集10/5〜28・新窓販と個人向けの違い)。短い年限の金利も上がっている証拠で、11月発行分の固定3年・固定5年にも追い風です
- 固定5年・固定3年は、5年・3年の金利から決まります。日銀の利上げ観測が強いと短中期の金利が上がりやすく、10月発行分では固定のほうが上げ幅が大きくなりました(10月発行分の解説)
- 10月発行分の募集は9月30日で終了しました。11月発行分の利率は10月7日に発表され、変動10年2.05%・固定5年2.39%・固定3年2.07%となりました(募集は10月8日〜30日)。毎月の実績は 金利推移 で確認できます
④ 持っている人:変動10年は追随、固定型は不変
- 変動10年:半年ごとの見直しで、その時点の基準金利×0.66に更新されます。長期金利が3%台のまま次の見直しを迎えれば、持っている変動10年の利率も2%前後まで上がる計算です(次回の利子はいくら?)
- 固定5年・固定3年:利率も元本も満期まで変わりません。今後の利率上昇の恩恵は受けませんが、損失も出ません。買い直しを考える場合は、中途換金で引かれる金額との比較が必要です(昔の国債を買い直すべき?)
- どちらも元本は額面のままです。長期金利がいくら上がっても、個人向け国債が値下がりすることはありません
⑤ 値下がりするのは「市場で売買される国債」
- 長期金利の上昇は、国債の価格の下落と同じ意味です。残存10年の国債なら、金利が0.1%上がると価格はおおむね0.8〜0.9%下がります(金利と価格のしくみ)
- 窓口で買った利付国債や新窓販国債は、途中で売ると市場価格になります。満期まで持てば額面で戻るので、売らなければ実害はありません
- 国債を大量に持つ金融機関では、含み損が膨らみます。金融庁が信用金庫の点検に動いたのもこのためです(銀行・信金の国債含み損)。預金は預金保険で1,000万円と利息まで守られます
- 個人向け国債には市場価格がありません。中途換金は国が額面で買い取る仕組みなので、含み損という考え方自体が当てはまりません
⑥ 住宅ローン・預金への影響
- 住宅ローン(固定金利):長期金利を基準に決まるため、3%台の定着は固定金利の上昇要因です。これから固定で借りる人は、借入の時期で金利が変わります
- 住宅ローン(変動金利):長期金利ではなく、日銀の政策金利(9/18に1.25%へ)に連動します。返済額の試算は 住宅ローンの繰り上げ返済 vs 国債 にまとめています
- 預金:定期預金を中心に金利の引き上げが出やすくなります。「期間限定の高金利」は実額で比べるのが安全です
⑦ 今後の予定
| 日付 | 予定 | 注目点 |
|---|---|---|
| 9/30 | 10月発行分の募集最終日 | 変動10年1.95%・固定5年2.24%で買える最終日 |
| 10月7日 | 11月発行分の利率発表(済) | 変動10年2.05%で初の2%台に(確定) |
| 10/29-30 | 日銀会合(展望レポート) | 追加利上げの有無と物価見通し(9,10月イベント一覧) |
※ 11月発行分の利率が発表されしだい、結果を追記します。9月の動きは 【2026年9月の国債まとめ】 へ。
よくある質問
Q. 長期金利が3%を超えると、個人向け国債の利率も3%になりますか?
なりません。変動10年の利率は「基準金利×0.66」で決まるため、長期金利が3.085%でも利率は機械計算で約2.04%です。固定5年・固定3年は5年・3年の金利から決まります。また、利率が変わるのは次に発行される分からで、すでに発表済みの発行分の利率は変わりません。
Q. 長期金利が上がると、持っている個人向け国債は値下がりしますか?
値下がりしません。個人向け国債は市場で売買されず、中途換金は国が額面で買い取る仕組みです。値下がりするのは市場で売買される国債(利付国債・新窓販国債・国債ファンドなど)です。変動10年は、むしろ半年ごとの見直しで利率が上がる方向に働きます。
Q. 変動10年は、いつ2%になりますか?
変動10年が2.00%になるには基準金利が約3.03%必要です。長期金利は9月28〜29日の終値で3.085%とこの水準を上回っており、入札でも同水準なら次の発行分は機械計算で約2.04%になります。ただし基準金利は発表前営業日の入札結果から決まるため、発表まで確定ではありません。(10/7追記:実際に2.05%で発表されました)
Q. 長期金利3%は、住宅ローンや預金にも影響しますか?
影響します。長期金利は固定金利型の住宅ローンの基準になるため、固定金利は上がりやすくなります。変動金利型は日銀の政策金利に連動します。預金金利は、定期預金を中心に引き上げの動きが出やすくなります。
Q. 金利がまだ上がりそうなら、国債を買うのは待つべきですか?
変動10年は買った後も半年ごとに利率が見直されるため、待つ意味は構造的に薄い商品です。固定5年・固定3年は発行時の利率で確定するため、待てば高い利率で買える可能性がある一方、金利が下がる可能性も、待つ間の利子を受け取れない機会損失もあります。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却や借入を推奨するものではありません。記載の利率(変動10年1.95%・固定5年2.24%・固定3年1.96%=2026年10月発行分)は募集ごとに見直され、将来の利率・受取額を保証するものではありません。金額はすべて概算です。最新情報は財務省・日銀・各金融機関の公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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